「テンション」とは、ラケットにガットを張り上げる時の引っ張る強さで、ポンドやキログラム数で表します。
テンションの高い・低いの境目は、タマ(ノンプレッシャー)がテニスを始めた20数年前から【50ポンド(約22.7kg)】と言われ続け、なぜか未だに変わっていません。
ラケット本体やカタログには「このくらいの強さでガットを張ることをおすすめします。」という「メーカー推奨」テンションが記載されていますが、初めてラケットを買うかたは、ついメーカー推奨テンションの中間のポンド数にしてしまうのではないでしょうか?
もうメーカー推奨テンションにとらわれるのはやめましょう。
怪我と上達への遠回りをしないために、
「メーカー推奨」ではなく「適正」なテンションでガットを張ることが大切です。
目次
【とりあえず無視】メーカーの「推奨」は、あなたにとっての「適正」とは限らない。
あるメーカーでは、フェイスサイズ、重量、フレーム厚の全く異なるラケットが、推奨テンションは全て同じ50〜60ポンドとなっています。
様々なメーカーの事情があるにせよ、上級者向きの薄く重たいラケットと初級者向きの厚く軽いラケットが、どちらも同じ推奨テンションというのは少しおかしな話です。
ラケット本体やカタログには「このくらいの強さでガットを張ることをおすすめします。」という「メーカー推奨」テンションが記載されていますが、
あまり意味のない数字なので【無視】しましょう。
本来、ラケットだけでなく、張るガットの種類、体格、技術、プレースタイルなど様々な要因によって、そのプレイヤーに「適正」なテンションは決まるはずです。
推奨テンションの上限値を大きく超えた強さでガットを張ってしまうと、ラケットが破損してしまう恐れがありますが、推奨テンションの下限値を下回る分には、何も問題もありません。
実際、推奨テンションの下限値を下回るテンションが、快適にプレーできる「適正」テンションであることはよくあります。
一般プレイヤーと比べ物にならないスイングスピードのプロ選手が、40ポンド前後という「ゆるい」テンションで張っていたりもします。
繰り返しになりますが、
メーカー推奨テンションはとりあえす無視
しましょう。
【おすすめは40〜45ポンド】低めからスタートしませんか?
「メーカー推奨テンションは無視」
といわれても、初めてラケットを買う方はどんなガットを何ポンドで張ったらいいのかわかりませんよね。
一番いいのは、信頼できる店員さんのいるテニスショップで、店員さんに相談したうえでラケットを購入することです。
その際に、初心者に最適なガットを選び、メーカー推奨テンションとは関係なく、みなさんに「適正」なテンションで張ってくれるはずです。
近くにそんなテニスショップはないし、ラケットはネットでもっと安く買いたい、という初心者の方には、まずは
40〜45ポンド初心者向けのラケットにナイロンガットを張る前提の数値です。
のテンションでガットを張ることをおすすめします。
【硬さに慣れてしまう前に】「頑張って打ってる感」があるひとは要注意
- 「りきみ」による怪我を防ぐため
- 「手打ち」を防ぎ正しいフォームを身につけるため
初心者のかたに40〜45ポンドという低めのテンションをおすすめする理由は、
「怪我の予防」と「正しいフォームの習得」
のためです。
高いテンションでガットを張るとボールは飛びにくくなります。
まだ正しいフォームで打てない初心者は、ボールが飛ばないと感じると腕にちからを入れることでボールを飛ばそうとしてしまいます。
この余計な「りきみ」は肘や手首の痛みの原因となります。
経験された方はわかると思いますが、肘や手首の痛みはなかなか治りません。
そのせいで大好きなテニスを休まなければならなくなったり、痛みを我慢し続けてプレーした結果、テニスをしていなくても常に痛いという状態にまでなってしまいます。
また、腕にちからを入れてボールを打とうとすることで、いわゆる「手打ち」になり正しいフォームが身につかず、上達の妨げとなります。
質の高いボールは、インパクトの瞬間に向けて腕に込められたちからではなく、腕のちからが抜けた状態での効率的な「運動連鎖」による高速なスイングスピードから生まれます。
一度身についてしまった手打ちのフォームを正しいフォームに直すのはなかなか大変です。
フォームを直しているあいだは感覚が変わり、それまで入っていたショットが入らなくなることもあるので、正しいフォームが身につくまで我慢できずに、結局元のフォームに戻してしまう人が多いのです。
正しいフォームできちんとスピンのかかったボールが打てるようになり、スイングスピードをゆっくりにしないと打ったボールがアウトになってしまう時に、ガットのテンションを上げることを検討しましょう。
それまでは「怪我の予防」と「最短での上達」の観点から【低めのテンションからスタートする】 ことをおすすめします。
スイングスピードがとてつもなく速いプロが40ポンドで張っても打球がコートに収まるなら、飛びすぎの本当の原因はフォームにある!?
【結論】一番いいのは打球時に「何も感じられない」状態!?
ここまでの説明だと、テンションは低いほどいいと感じてしまう方もいるかもしれませんが、低すぎてもガットが本来持つ反発力を活かすことができないためボールは飛ばなくなります。
ボールが飛ばなくなると何が起こるか?
そうです、「りきみ」です。
ガットのテンションが高すぎても低すぎても「りきみ」の原因になってしまうのです。
結局、「適正」なテンションとは、
【ボールを飛ばすためにりきむ必要がなく、かつ、スイングスピードを抑えなくてもアウトにならないテンション】
と言えます。
「りきむ必要がない」ということは、
【打球時に硬さ・柔らかさを感じない】
状態です。
打感の感じ方は、ラケット、張るガットの種類、ラケットを使う皆さんの体格、技術、季節(気温)などによって変わります。
「適正な」テンションは、
常に決まった数値ではなく、様々な状況にあわせながら調整する
と考えてください。
テンションの高さを競い合ったのは昔の話・・・
今は上級者でも【ローテンション】のひとが多いよ!
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