2020年1月3日(金)から1月12日(日)にかけて、「ATPカップ」が初開催されます!した。(2020年の第1回大会はセルビアの優勝で幕を閉じました。)
この大会は、2020年より毎年1月にオーストラリア(2022年までパース・ブリスベン・シドニーで開催が決まっています。)で開催される、
ATP(男子プロテニス協会 )主催(オーストラリアテニス協会共催)の【国別対抗戦】です。
日本も出場し、錦織圭選手、(右肘の回復が間に合わず欠場)西岡良仁選手、内山靖崇選手、(怪我のため欠場)添田豪選手、マクラクラン勉選手の5人のメンバーでエントリーしています。
内山選手に続き錦織選手も残念ながら欠場となりメンバーが3人になってしまったため、追加メンバーとして、なんと!41歳の現役最年長シングルスATPランカーである松井俊英選手が選ばれています!!マクラクラン選手とのダブルスでの出場になると思いますが、ぜひ観たい!!
ちなみに、正式名称は【ATP World Team Cup】といいます。
1978年から2012年までワールドチームカップという大会がドイツで開催されていましたので、今回、大会フォーマットを変えての復活という形です。

【ATP主催】の24ヶ国による国別対抗戦!
ランキング上位のトッププレイヤーが集まる大会だよ!
目次
【ATPカップ2020】大会の概要
グループステージ・決勝トーナメント共に、No2選手による最初のシングルスが開始され、その後にNo1選手のシングルス、そしてダブルスで勝敗を決めます。
ATPカップは、2020年大会が初開催で、毎年シーズンが始まる週の前週金曜日から10日間、シーズン1週目の日曜日まで開催される大会です。
2022年大会までオーストラリア(パース・ブリスベン・シドニー)で行われることが決まっています。
24ヶ国による国別対抗戦であり、
ATPランキング(シングルス)で各国1位の選手が保有するポイントによって
選出された上位24ヶ国に出場資格が与えられます。
各国の代表選手が、ラウンドロビン方式のグループステージ、決勝トーナメントを経て、世界一の座をかけて争います。
グループステージは各会場(パース・ブリスベン・シドニー)に分かれ、連日デイセッションとナイトセッションで試合が行われ、グループステージを勝ち抜いた8ヶ国による決勝トーナメントはシドニーで行われます。
グループステージ・決勝トーナメント共に、No2選手による最初のシングルスが開始され、その後にNo1選手のシングルス、そしてダブルスへと続きます。

ATPカップ終了後、すぐにシーズン最初のグランドスラム大会、オーストラリアン・オープンの予選が始まるから、出場選手にとっては、オーストラリアン・オープンに向けての調整を兼ねた大会とも言えるよ。
【ATPカップ2020】主なルール
- 出場する24ヶ国は、4ヶ国ずつ6個のグループにわかれ、グループステージを戦う。
- グループステージの各グループ1位となった6ヶ国に、2位のうち最も良い成績の2ヶ国を加え、8ヶ国による決勝トーナメントが行われる。
- グループステージ、決勝トーナメントのいずれの対戦も、シングルス2試合・ダブルス1試合の計3試合開催され、2試合以上勝利した国が勝ちとなる。
- No2選手による最初のシングルスが開始され、その後にNo1選手のシングルス、そしてダブルスへと続く。シングルス2試合の結果にかかわらず、ダブルスは行われる。
- No1選手は、No2として最初のシングルスに出場することはできない。ダブルスの出場は可能。
- シングルスの試合は、ベストof 3セットマッチ(2セット獲得で勝利)、タイブレークあり。
- ダブルスの試合は、ベストof 3セットマッチ(2セット獲得で勝利)、ノーアドバンテージ方式(40-40になったら次のポイントを取ったほうがゲーム取得)、3セット目はタイブレーク(10ポイント先取)で争う。
- ポイント間の制限時間を「25秒」とする【ショットクロック】を採用
- 試合中、プレイヤーはチームキャプテン・選手のコーチ・チームメンバーから【コーチング】を受けることができる。
ATPカップの参加国、参加選手はどうやって選ばれるのか?
1回目のエントリー時に上位18ヶ国のATPランキング(シングルス)1位と2位の選手に参加権が与えられ、他の選手は2回目のエントリー時に決定します。
ATPカップの参加24ヶ国は2回のエントリーにわけて決定されます。
まず、1回目のエントリー締切日は全米オープン後に設定され、各国内で最上位選手のATPランキング(シングルス)に基づいて、上位18ヶ国にATPカップへの参加権が与えられ、同時に各国のATPランキング1位と2位の選手に参加権が与えられます。
ちなみに今大会、日本はこの段階で8位で参加権を得ています。(最終的なシード順位は7位です。)
1回目のエントリーで開催国(オーストラリア)が参加権を得られなかった場合はワイルドカードが与えられ、19ヶ国目の参加国としてオーストラリアの参加が決定します。(2020年の今回大会、開催国のオーストラリアはワイルドカードでの参加です。)
なお、参加国には
最低でも2人のATPランキング(シングルス)保持者を含めた、3人のATPランキング(ダブルスランキング含む)保持者
が所属していなくてはなりません。
また、各国の参加選手数は最高5人であり、チームの選手が5人いる場合は最低3人、選手が4人以下の場合は、最低2人のATPシングルスランキング保持者が含まれている必要があります。(プロテクトランキングを保有する選手がいた場合、大会開催時にそのランキングが有効であることを条件に参加権を得ることができますが、参加国のシード順位決定には反映されません。)
2回目のエントリー締切日はATPツアーファイナルズの週に設定され、残りの6ヶ国(開催国にワイルドカードが与えられた場合は5ヶ国)が、その時点の国内ATPランキング(シングルス)最上位選手のATPランキングに基づいてが決まります。
各国の残りのチームメンバーも、この時点のランキングをもとに全員が決定されます。
当初参加を予定していた国のATPランキング最上位プレイヤーが参加をキャンセルし、また、その国のNO2プレイヤーがランキング外の場合、その国は参加できません。
以下は、2回のエントリーによって決定した参加国と各国のNo1、No2プレイヤーです。
代わりにジェームス・ワード選手がメンバーとなります。
錦織圭選手はエキシビジョンマッチの「ハワイ・オープン」欠場を発表しました。ATPカップも厳しいかな・・・
代わりにジル・シモン選手がメンバーとなります。
代わりにA.ギアネッシ選手がメンバーとなります。
順位 | 国名 | No1 | No2 |
---|---|---|---|
1 | セルビア | N.ジョコビッチ | D.ラヨビッチ |
2 | スペイン | R.ナダル | R.バウティスタ アグート |
3 | ロシア | D.メドベージェフ | K.カチャノフ |
4 | オーストリア | D.ティーム | D.ノバック |
5 | ドイツ | A.ズベレフ | J.シュトルフ |
6 | ギリシャ | S.チチパス | M.ペルボララキス |
7 | 日本 | 錦織圭 | 西岡良仁 |
8 | イタリア | M.ベレッティーニ | F.フォニーニ |
9 | フランス | G.モンフィス | L.プイユ |
10 | ベルギー | D.ゴファン | S.ダルシス |
11 | クロアチア | B.チョリッチ | M.チリッチ |
12 | アルゼンチン | D.シュワルツマン | G.ペラ |
13 | ジョージア | N.バシラシヴィリ | A.メトレヴェリ |
14 | 南アフリカ | K.アンダーソン | L.ハリス |
15 | アメリカ | J.イズナー | T.フリッツ |
16 | カナダ | D.シャポバロフ | F.オーガー アリアシム |
17 | イギリス | A.マレー | D.エバンズ |
18 | オーストラリア | A.デミノー | N.キリオス |
19 | ブルガリア | G.ディミトロフ | D.クズマノフ |
20 | チリ | C.ガリン | N.ジャリー |
21 | ポーランド | H.フルカチュ | K.マイクシャク |
22 | ウルグアイ | P.クエバス | M.クエバス |
23 | モルドバ | R.アルボット | A.コズビノフ |
24 | ノルウェー | C.ルード | V.ドゥラソビッチ |

ロジャー・フェデラー選手とスタン・ワウリンカ選手がともに辞退したスイスは、今大会はランキング外となり参加しません・・・(残念)
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ATPカップは勝てばATPランキングポイントがもらえる大会です。
ATPカップで獲得できるポイントは、ATPランキングを決定する「直近52週(1年間)に出場した大会のうち獲得ポイントの高い上位18大会」には含まれず、ATPツアーファイナルズと同様に19大会目の追加ポイントとしてそのまま加算されるため、選手にとって厳しいスケジュールの中でも参加するメリットは十分にあります。
ATPカップの参加選手はATPランキングポイントを最大で、シングルスは750、ダブルスは250ポイント獲得することができます。(優勝まで全試合に出場し勝利した場合)
大会期間中、試合に出て勝てば勝つほどポイントが加算されていく仕組みです。
ATPカップのシングルスで獲得できるポイントは自身と対戦相手のATPランキングによって変動しますが、ダブルスは自身・対戦相手のATPランキングに関係なく獲得ポイントは変わりません。
自身のATPランキングが301位以下の選手は、勝利により獲得できるポイントがATPランキング300位以上の選手より低く抑えられています。
これは、ATPランキング301位以下の選手達が、普段参加するレベルの大会の獲得ポイントにあわせてのことだと思われます。

ランキング1000位台(保持しているATPランキングポイントが1桁)の選手がメンバーの国もあるからね。
獲得できるATPランキングポイントは、ラウンド・自身のランキング・対戦相手のランキングによって次の表とおりになります。
シングルス 自身のランキングが1〜300位の場合
ラウンド/相手 | 1〜10位 | 11~20位 | 21~30位 | 21~30位 | 51~100位 | 101位~ |
---|---|---|---|---|---|---|
決勝 | 250 | 200 | 150 | 105 | 75 | 50 |
準決勝 | 180 | 140 | 105 | 75 | 50 | 35 |
準々決勝 | 120 | 100 | 75 | 50 | 35 | 25 |
グループ ステージ | 75 | 65 | 50 | 35 | 25 | 20 |
シングルス 自身のランキングが300位〜の場合
ラウンド/相手 | 1〜100位 | 101位~ |
---|---|---|
決勝 | 85 | 55 |
準決勝 | 55 | 35 |
準々決勝 | 35 | 25 |
グループステージ | 25 | 15 |
ダブルス 自身・相手のランキングによる変動はなし
ラウンド | 獲得ポイント |
---|---|
決勝 | 80 |
準決勝 | 75 |
準々決勝 | 55 |
グループステージ | 40 |
【賞金総額は約16億!】協会ではなく選手に対して払われます。
賞金の総額だけをみると、2019年のデビスカップ・決勝ラウンドの賞金総額が、2000万ドル(約21億円)という金額に対し、ATPカップの賞金総額は1500万ドル(約16億円)と、参加国の少ないデビスカップ決勝ラウンドの方が賞金総額が高くなっています。
ただし、デビスカップの賞金は各国のテニス協会を通して選手に分配支給されることになっているため、かなりの額が協会の懐に入っているのではないでしょうか。
いっぽうATPカップの賞金は、参加費・個人の勝利賞金・チームの勝利賞金の3つの形で【選手に対し】与えられます。

ATPランキングポイントと多額の賞金があるなら、厳しいスケジュールでも選手は出たい!?
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【今後について】もうひとつの国別対抗戦「デビスカップ」とATPカップの共存は?
ATPカップは国別対抗戦ですが、もともとテニスの国別対抗戦というと「デビスカップ」です。
デビスカップは100年以上の歴史を持ち、国の代表として戦う大変名誉のある大会ですが、試合に勝ってもATPランキングポイントがつかず、ツアースケジュールの合間を縫った移動も伴うため、実際にはスケジューリングやコンディションを理由に欠場する選手が多くなってきており、様々な改革案が検討されてきました。
そして2019年、デビスカップに大きな改革がなされ、1年間をかけて優勝国を決める方式から、世界トップ18ヶ国がスペインのマドリードに集まって1週間で集中開催(試合も5セットから3セットに変更)という新フォーマットで行われました。

開催地のスペイン戦以外は観客数が少なかったり、試合数に対してコート数が少なく深夜まで試合が行われたりと、次回への課題がいろいろとあるみたい・・・。
ちなみに、デビスカップが2019年11月24日に終了し、ATPカップが2020年1月3日から開催というスケジュールです。
わずか6週間の間隔で、似たような国別対抗戦が行なわれるということで、いろいろと物議を醸している状況でもあります。
選手としては、ただでさえ過密すぎるツアースケジュールなのに、さらに厳しいものになるため、ATP選手会の会長でもあるノヴァク・ジョコビッチ選手は、
「今後デビスカップとATPカップが共存できるとは思えない、将来的に統合するのが好ましい」
と語っている状況です。
デビスカップはITF(国際テニス連盟)が主催、ATPカップはATP (男子プロテニス協会)が主催の大会であり、ITFとATPのあいだには確執があるため、今後どうなっていくのかは不透明です。
ただ、いちテニスファンとしては、
「トップ選手同士の試合が何試合も見られておもしろそう」
というのが今のところの感想で、楽しみな大会が増えたのは間違いありません。

ATPカップのあとすぐに全豪オープンが始まるから、1月はテニス漬け間違いなし!?
ATPカップのグループリーグ組み合わせ、出場選手一覧はこちらの記事をどうぞ!