なお、9月20日に開催日程を延期した全仏オープン、8月31日からの全米オープンは今のところ【開催する予定】となっています。
今回はWTA、女子プロテニスツアー大会の「グレード」と「ランキングポイント」のお話です。
WTAの大会は、出場選手数や獲得できるランキングポイント、賞金額によっていくつかのグレードに分けられています。
また、WTAツアーの世界ランキングは、大会で獲得した「WTAランキングポイント」により決まる仕組みで、獲得できるポイントは大会のグレードと残した結果ごとにあらかじめWTAによって決められています。
グランドスラムから下部ツアー大会までのWTAランキングポイントを獲得できるグレードの大会について、成績により獲得できるポイントなどをまとめてみましたが、最高峰の大会であるグランドスラムと最もグレードの低い下部ツアー大会では驚くほど差がありますよ。
賞金額もびっくりするぐらい差があるよ!
「もっと詳しく知りたい!」というかたは、WTAの公式サイトに掲載されている「オフィシャルルールブック」に詳細が記載されていますのでチェックしてみてください。(英文ですが「Google翻訳」を使えば何となくわかりますよ!)
- 【WTA公式サイト】WTA Official Rulebook(「2020 Official Rules (PDF)」(重い!)141ページからの「Ⅷ WTA RANKING SYSTEM」がランキングに関する部分です。)
目次
大会のグレードとランキングポイントの基本
「WTAツアー」の大会は「プレミアマンダトリー」、「プレミア5」、「プレミア」、「インターナショナル」の4つのグレードに分かれています。
これらのWTAツアー大会以外にも、4つの「グランドスラム(全豪、全仏、ウインブルドン、全米)」、年間成績上位の限られた選手だけが出場できる年間最終戦「WTAファイナルズ」と「WTAエリートトロフィー」、WTAツアーより下のグレードとなる下部ツアー大会「WTA125Kシリーズ」、「ITF女子ワールドテニスツアー」があり、それぞれWTAランキングポイントを獲得できる大会となっています。
なお、フェドカップ、オリンピック、エキシビジョン大会ではランキングポイントを獲得することはできません。
グレードの高い大会ほど多くのランキングポイントと賞金を獲得できますが、出場するランキング上位選手の数も多くなり勝ち上がるのが難しくなります。
なお、シングルスで獲得したランキングポイントはシングルスランキングのみ、ダブルスで獲得したランキングポイントはダブルスランキングのみに利用されます。
ダブルスのランキングポイントは選手ごとに与えられるぞ。
毎大会同じペアで出るわけじゃないからな。
グランドスラム【全豪・全仏・ウインブルドン・全米】
開催国のテニス協会やテニス連盟などが主催するITF公認大会である「全豪オープン」、「全仏オープン」、「ウィンブルドン選手権」、「全米オープン」の4つの大会を「グランドスラム」と呼びます。
グランドスラムは、2週間の大会期間中に男女の試合が同会場でおこなわれ、男女ともにシングルスメインドロー数(本戦出場選手数)128、ダブルスメインドロー数64、さらにミックス(男女混合)ダブルスも行われるツアーで最大の大会です。
グランドスラムの男子シングルスは「5セットマッチ」で行われますが、女子シングルスは「3セットマッチ」で行われます。
グランドスラムは大会カテゴリーのなかで最上位に位置する大会で、獲得できるランキングポイントはツアー大会のなかでもっとも多く、男女のシングルスとダブルスの優勝者はそれぞれ2000ポイントを獲得できます。
【WTA】グランドスラム(4大会共通) ランキングポイント表
戦績によって獲得できるランキングポイントは4大会すべて同じです。
戦績/種目(ドロー) | シングルス(128) | ダブルス(64) |
---|---|---|
優勝 | 2000 | 2000 |
準優勝 | 1300 | 1300 |
ベスト4 | 780 | 780 |
ベスト8 | 430 | 430 |
ベスト16 | 240 | 240 |
ベスト32 | 130 | 130 |
ベスト64 | 70 | 10 |
ベスト128 | 10 | – |
予選通過 | 40 | 予選なし |
予選3回戦 | 30 | 予選なし |
予選2回戦 | 20 | 予選なし |
予選1回戦 | 2 | 予選なし |
優勝の2000ポイントは同じだけど、準優勝以下の獲得ポイントはATPとWTAでちょっと違うんだにゃ〜
ちなみに、予選通過者が本戦1回戦で敗退したときの扱いも違っていて、ATPは予選通過ポイントに加えて本戦1回戦のポイントをもらえるけど、WTAは予選通過ポイントだけなんだよ!
グランドスラムは予選が3回戦まであるから勝ち上がるのが大変だな。
ちなみにグランドスラムの賞金は「超高額」です。
4つのグランドスラム大会のなかでは全米オープンの優勝賞金がもっとも高く、シングルスは4億円以上、ダブルスはペアに対し約8,000万円となっています。
ほかの3大会の優勝賞金は大会によって多少差はありますが、シングルスは約3億円、ダブルスは全豪が約5,500万円、全仏とウインブルドンが約7,000万円となっています。
全米オープンの賞金額が飛び抜けて高いね!
しかし、シングルスとダブルスの賞金格差がすごい・・・
しかもダブルスの賞金額はペアに対してだから、1人がもらえるのは半分なんだにゃ〜
スポンサーリンク
【年間TOP8による最終戦】WTAファイナルズ
「WTAファイナルズ」は「WTAレースランキング」のシングルス上位8名、ダブルス上位8ペアが出場することができる特別な大会で、毎年10月末から11上旬に行われます。
WTAファイナルズでは、ラウンドロビン(2つのグループにわかれた予選リーグ)の試合に出場するごとに125ポイント、ラウンドロビンでの勝利で125ポイント、準決勝での勝利で330ポイント、決勝での勝利で420ポイントのランキングポイントを獲得でき、ラウンドロビンから全勝で優勝した場合、獲得するポイントは1,500ポイントになります。
えっ?出場するだけでランキングポイントがもらえるの??
そうなんだ。
ラウンドロビンの3試合で1勝もできなくても、375ポイント(125ポイント×3試合)を獲得できるよ。
男子の「ATPファイナルズ」は試合に勝たないとポイントは獲得できないぞ。
WTAランキング(シングルス)は「52週以内に獲得した上位16大会のポイント合計」で決まる仕組みですが、WTAファイナルズで獲得したポイントは「17大会目」として加算されます。
なお、2019年のWTAファイナルズ優勝賞金(シングルス)ですが、実は
「テニス史上最高額」
です!
シングルスでラウンドロビンから全勝で優勝した場合の優勝賞金は
「約5億円」
ATPファイナルズの優勝賞金約3億円を軽く上回るとんでもない金額です。
ちなみに、ダブルスでラウンドロビンから全勝で優勝した場合の賞金は約1億円です。
5億円かぁ・・・とんでもない金額だにゃ〜
【WTAファイナルズ】ランキングポイント表
シングルスとダブルスで獲得ポイントに違いはありません。
ラウンド | 勝利による 獲得ポイント | 出場による 獲得ポイント |
---|---|---|
決勝 | 420 | – |
準決勝 | 330 | – |
ラウンドロビン | 125(1勝につき) | 125(1試合につき) |
【もうひとつの最終戦】WTAエリートトロフィー
「WTAエリートトロフィー」は「WTAレースランキング」9位〜19位の11名と主催者推薦1名の計12名が出場することができる特別な大会で、WTAファイナルズの前週に行われます。
WTAファイナルズ出場にあと一歩届かなかった選手たちによる「もうひとつの最終戦」だね。
WTAエリートトロフィーでは、ラウンドロビン(4つのグループにわかれた予選リーグ)の試合に出場するごとに40ポイント、ラウンドロビンでの勝利で80ポイント、準決勝での勝利で200ポイント、決勝での勝利で260ポイントのランキングポイントを獲得でき、ラウンドロビンから全勝で優勝した場合、獲得するポイントは700ポイントになります。
なお、主催者推薦での出場選手は、ラウンドロビンの試合出場による40ポイントを獲得することはできません。
700ポイントならグランドスラムのベスト4に近いポイントだにゃ〜
シングルスでラウンドロビンから全勝で優勝した場合の優勝賞金約7,500万円で、後述する「WTAツアー」カテゴリー最上位大会の「プレミアマンダトリー」に匹敵する賞金額です。
ちなみに、ダブルスでラウンドロビンから全勝で優勝した場合の賞金は約550万円です。
【WTAエリートトロフィー】ランキングポイント表
ダブルスはランキングポイントを獲得できません。
ラウンド | 勝利による 獲得ポイント | 出場による 獲得ポイント |
---|---|---|
決勝 | 260 | – |
準決勝 | 200 | – |
ラウンドロビン | 80(1勝につき) | 40(1試合につき) |
【WTAツアー】プレミアマンダトリー
「プレミアマンダトリー」はWTAが管轄する「WTAツアー」カテゴリーの最上位に位置する大会です。
グランドスラムに次ぐ規模の大会で年間4大会開催されます。
優勝者は1000ポイントのWTAランキングポイントを獲得できます。
なお、前年末のWTAランキングが10位以内の「トップ10プレーヤー」は、プレミアマンダトリーの4大会すべてに出場する義務が課せられます。
プレミアマンダトリーのメインドロー数は、シングルスが96・64・60、ダブルスが32・28で、大会によって異なります。
- メインドロー数シングルス96・ダブルス32:2大会
- BNPパリバ・オープン(インディアンウェルズ)
- マイアミ・オープン(マイアミ)
- メインドロー数シングルス64・ダブルス28:1大会
- ムチュア・マドリード・オープン(マドリード)
- メインドロー数シングルス60・ダブルス28:1大会
- チャイナ・オープン(北京)
チャイナ・オープン(北京)のメインドロー数が60なのは、前週に行なわれる武漢オープンで準決勝に進んだ4人の選手に「bye(1回戦不戦勝)」が与えられるからなんだ。
ちなみにプレミアマンダトリーの優勝賞金ですが、大会によって差があり、シングルス約1億円5千万〜約1億7千万円、ダブルス約5,000万〜5,500万円(ペア)となっています。
【プレミアマンダトリー】ランキングポイント表
戦績/種目 (ドロー) | シングルス (96) | シングルス(64/60) | ダブルス(32/28) |
---|---|---|---|
優勝 | 1000 | 1000 | 1000 |
準優勝 | 650 | 650 | 650 |
ベスト4 | 390 | 390 | 390 |
ベスト8 | 215 | 215 | 215 |
ベスト16 | 120 | 120 | 120 |
ベスト32 | 65 | 65 | 10 |
ベスト64 | 35 | 10 | – |
ベスト128 | 10 | – | – |
予選通過 | 30 | 30 | 予選なし |
予選3回戦 | – | – | 予選なし |
予選2回戦 | 20 | 20 | 予選なし |
予選1回戦 | 2 | 2 | 予選なし |
本戦1回戦が「Bye(不戦勝)」となったシード選手が本戦2回戦で敗退した場合は、本戦1回戦敗退の扱いとなり獲得できるポイントは10ポイントとなります。
予選通過者が本戦1回戦で敗退した場合、獲得できるポイントは予選通過の30ポイントだけとなります。
スポンサーリンク
【WTAツアー】プレミア5
「プレミア5」はWTAが管轄する「WTAツアー」カテゴリーで、プレミアマンダトリーに次ぐグレードの大会です。
年間5大会開催され、優勝者は900ポイントのWTAランキングポイントを獲得できます。
プレミアマンダトリーの1000ポイントとほとんど変わらないな。
なお、前年末のWTAランキングが10位以内の「トップ10プレーヤー」は、プレミア5の5大会中4大会に出場する義務が課せられます。
プレミア5のメインドロー数は5大会すべてシングルス56、ダブルス28です。(予選のドロー数は大会によって違います。)
- メインドロー数シングルス56・ダブルス28:5大会
- カタール・トータル・オープン(ドーハ)
- BNLイタリア国際(ローマ)
- ロジャーズ・カップ(トロント)
- ウェスタン&サザン・オープン(シンシナティ)
- 武漢オープン(武漢)
プレミア5の優勝賞金は、プレミアマンダトリー同様に大会によって差があり、シングルス約5,500万〜約6,000万円、ダブルス約1,600万〜約1,800万円(ペア)となっています。
獲得できるポイントはプレミアマンダトリーとあまりかわらないけど、賞金額はけっこう差があるんだにゃ〜
【プレミア5】ランキングポイント表
予選(Q)のドロー数によって獲得できるポイントが違います。
戦績/種目 (ドロー) | シングルス (56,64Q) | シングルス (56,48/32Q) | ダブルス (28) |
---|---|---|---|
優勝 | 900 | 900 | 900 |
準優勝 | 585 | 585 | 585 |
ベスト4 | 350 | 350 | 350 |
ベスト8 | 190 | 190 | 190 |
ベスト16 | 105 | 105 | 105 |
ベスト32 | 60 | 60 | 1 |
ベスト64 | 1 | 1 | – |
ベスト128 | – | – | – |
予選通過 | 30 | 30 | 予選なし |
予選3回戦 | 22 | – | 予選なし |
予選2回戦 | 15 | 20 | 予選なし |
予選1回戦 | 1 | 1 | 予選なし |
本戦1回戦が「Bye(不戦勝)」となったシード選手が本戦2回戦で敗退した場合は、本戦1回戦敗退の扱いとなり獲得ポイントは1となります。
予選通過者が本戦1回戦で敗退した場合、獲得できるポイントは予選通過の30ポイントだけとなります。
【WTAツアー】プレミア
「プレミア」はWTAが管轄する「WTAツアー」カテゴリーで、プレミア5に次ぐグレードの大会です。
2020年シーズンは年間12大会開催され、優勝者は470ポイントのWTAランキングポイントを獲得できます。
日本で開催される「東レパンパシフィックオープン」はこのグレードの大会だよ。
プレミアのシングルスメインドロー数は56・48・32・30・28と大会によって違いますが、ダブルスは12大会すべて16です。
- メインドロー数シングルス56・ダブルス16:1大会
- ボルボ・カー・オープン(チャールストン)
- メインドロー数シングルス48・ダブルス16:1大会
- ネイチャーバレー・イーストボーン国際(イーストボーン)
- メインドロー数シングルス32・ダブルス16:1大会
- ベルリンオープン(ベルリン)
- メインドロー数シングルス30・ダブルス16:2大会
- ブリスベン国際(ブリスベン)
- アデレード国際(アデレード)
- メインドロー数シングルス28・ダブルス16:7大会
- サンクトペテルブルク・レディース・トロフィー(サンクトペテルブルク)
- ドバイ・デューティーフリー・テニス選手権(ドバイ)
- ポルシェ・テニス・グランプリ(シュトゥットガルト)
- ムバダラ・シリコンバレー・クラシック(サン・ホセ)
- 鄭州オープン(鄭州)
- 東レ・パンパシフィック・オープン(東京)
- VTB・クレムリン・カップ(モスクワ)
プレミアの優勝賞金は、ドバイ・デューティーフリー・テニス選手権以外はシングルス約1,500万〜約3,000万円、ダブルス約500万〜約900万円(ペア)です。
ドバイ・デューティーフリー・テニス選手権のシングルス優勝賞金は約7,000万円で、プレミアのなかでは飛び抜けて高い賞金額となっています。
プレミア5の優勝賞金を超えてるな・・・
【プレミア】ランキングポイント表
予選(Q)のドロー数によって獲得できるポイントが違います。
戦績/種目(ドロー) | シングルス(56/48) | シングルス(32/30/28, 32Q) | シングルス(32/30/28, 24/16Q) | ダブルス(16) |
---|---|---|---|---|
優勝 | 470 | 470 | 470 | 470 |
準優勝 | 305 | 305 | 305 | 305 |
ベスト4 | 185 | 185 | 185 | 185 |
ベスト8 | 100 | 100 | 100 | 100 |
ベスト16 | 55 | 55 | 55 | 1 |
ベスト32 | 30 | 1 | 1 | – |
ベスト64 | 1 | – | – | – |
ベスト128 | – | – | – | – |
予選通過 | 25 | 25 | 25 | 予選なし |
予選3回戦 | – | 18 | – | 予選なし |
予選2回戦 | 13 | 13 | 13 | 予選なし |
予選1回戦 | 1 | 1 | 1 | 予選なし |
本戦1回戦が「Bye(不戦勝)」となったシード選手が本戦2回戦で敗退した場合は、本戦1回戦敗退の扱いとなり獲得ポイントは1となります。
予選通過者が本戦1回戦で敗退した場合、獲得できるポイントは予選通過の25ポイントだけとなります。
【WTAツアー】インターナショナル
「インターナショナル」はWTAが管轄する「WTAツアー」カテゴリーで、プレミアに次ぐグレードの大会です。
「WTAツアー」カテゴリーのなかではもっともグレードの低い大会となります。
2020年シーズンは年間33大会開催され、優勝者は280ポイントのWTAランキングポイントを獲得できます。
「ツアーレベル」のカテゴリーは、WTAが4つあって、ATPより1つ多いんだよ。
インターナショナルのメインドロー数は33大会すべてシングルス32、ダブルス16です。
- メインドロー数シングルス32・ダブルス16:33大会
インターナショナルの優勝賞金は大会による差があまりなく、各大会シングルス約470万円、ダブルス約130万円(ペア)となっていますが、中国で開催される広州国際女子オープンと天津オープンはシングルス優勝賞金が1,000万円を超えています。
ATP250のシングルス優勝賞金はどの大会も1,000万円以上だから、インターナショナルの賞金額はちょっとさみしいにゃ〜
【インターナショナル】ランキングポイント表
予選(Q)のドロー数によって獲得できるポイントが違います。
戦績/種目(ドロー) | シングルス (32, 48/32Q) | シングルス (32, 24/16Q) | シングルス (32,8Q) | ダブルス(16) |
---|---|---|---|---|
優勝 | 280 | 280 | 280 | 280 |
準優勝 | 180 | 180 | 180 | 180 |
ベスト4 | 110 | 110 | 110 | 110 |
ベスト8 | 60 | 60 | 60 | 60 |
ベスト16 | 30 | 30 | 30 | 1 |
ベスト32 | 1 | 1 | 1 | – |
ベスト64 | – | – | – | – |
ベスト128 | – | – | – | – |
予選通過 | 18 | 18 | 18 | 予選なし |
予選3回戦 | 14 | – | – | 予選なし |
予選2回戦 | 10 | 12 | – | 予選なし |
予選1回戦 | 1 | 1 | – | 予選なし |
予選通過者が本戦1回戦で敗退した場合、獲得できるポイントは予選通過の18ポイントだけとなります。
【WTA下部ツアー】WTA125Kシリーズ
「WTA125Kシリーズ」は「WTAツアー」より下のカテゴリーの「WTA下部ツアー」大会です。
WTA125KシリーズはWTAツアーのカテゴリーには含まれませんが、WTAランキングポイントが付与される大会で、優勝者は160ポイントのWTAランキングポイントを獲得できます。
なお、年間150大会以上開催されるATPチャレンジャー(ATP下部ツアー)と違い、年間10大会程度の開催です。
下部ツアーだけど、シングルスはランキング100位以内の選手もたくさん出場しているよ!
WTA125Kシリーズのメインドロー数はシングルスが48・32、ダブルスが16・8と、大会によって違います。
大会のメインドロー数によって優勝賞金が違い、シングルスはドロー数48が約260万円、ドロー数32が約220万円、ダブルスはドロー数16が約90万円(ペア)、ドロー数8が約60万円(ペア)となっています。
【WTA125Kシリーズ】ランキングポイント表
予選(Q)のドロー数によって獲得できるポイントが違います。
戦績/種目 (ドロー) | シングルス (48/4Q) | シングルス (32/16Q) | シングルス (32/8Q) | ダブルス (16) | ダブルス (8) |
---|---|---|---|---|---|
優勝 | 160 | 160 | 160 | 160 | 160 |
準優勝 | 95 | 95 | 95 | 95 | 95 |
ベスト4 | 57 | 57 | 57 | 57 | 57 |
ベスト8 | 29 | 29 | 29 | 29 | 1 |
ベスト16 | 15 | 15 | 15 | 1 | – |
ベスト32 | 8 | 1 | 1 | – | – |
ベスト64 | 1 | – | – | – | – |
ベスト128 | – | – | – | – | – |
予選通過 | 4 | 6 | 6 | 予選なし | 予選なし |
予選3回戦 | – | – | – | 予選なし | 予選なし |
予選2回戦 | – | 4 | – | 予選なし | 予選なし |
予選1回戦 | 1 | 1 | 1 | 予選なし | 予選なし |
本戦1回戦が「Bye(不戦勝)」となったシード選手が本戦2回戦で敗退した場合は、本戦1回戦敗退の扱いとなり獲得ポイントは1となります。
予選通過者が本戦1回戦で敗退した場合、獲得できるポイントは予選通過の4(6)ポイントだけとなります。
【ITF下部ツアー】ITF女子ワールドテニスツアー
「ITF女子ワールドテニスツアー」はWTAではなくITFが管轄する小規模な大会で、WTAの下部ツアーであるWTA125Kシリーズより下のカテゴリーに位置します。
WTAランキングポイントを獲得できるもっとも下のカテゴリーの大会で、年間約500という数の大会が世界中で開催されます。
WTA125Kシリーズは年間10大会程度しか開催されないから、下部ツアーレベルの選手のほとんどがITF女子ワールドテニスツアーをメインに転戦するんだな。
2018年までは「ITF Women’s Circuit」という名称で開催されていましたが、2019年に正式名称が「ITF Women’s World Tennis Tour」となり、新たに「ITFランキングポイント」が新設されました。
ITF女子ワールドテニスツアーは、賞金の金額(総額)によって5つのカテゴリーに分けられています。
優勝者に与えられるランキングポイントは、大会の賞金レベル順に150〜10ポイントの範囲に設定されています。
1番上のカテゴリーである「W100」で獲得できるランキングポイントおよび賞金額は、WTA125Kシリーズとほとんど変わりません。
- W15:15,000ドル
- W25:25,000ドル
- W60:60,000ドル
- W80:80,000ドル
- W100:100,000ドル
W15からW100のすべての大会で、メインドロー数はシングルス32、ダブルス16です。
ITF女子ワールドテニスツアーの優勝賞金は次のとおりです。
- W15:シングルス約25万円、ダブルス約10万円(ペア)
- W25:シングルス約40万円、ダブルス約15万円(ペア)
- W60:シングルス約100万円、ダブルス約35万円(ペア)
- W80:シングルス約130万円、ダブルス約50万円(ペア)
- W100:シングルス約160万円、ダブルス約60万円(ペア)
この賞金だけじゃツアーをまわるのは厳しいにゃ〜
【ITFワールドテニスツアー】ランキングポイント表
同じ賞金レベルの大会でも、宿泊や食事などの「ホスピタリティ」の有無により獲得できるランキングポイントが違います。(表中のHはホスピタリティ)
戦績/種目 (ドロー) | W100 シングルス (32+H) | W100 ダブルス (16+H) | W100 シングルス (32) | W100 ダブルス (16) |
---|---|---|---|---|
優勝 | 150 | 150 | 140 | 140 |
準優勝 | 90 | 90 | 85 | 85 |
ベスト4 | 55 | 55 | 50 | 50 |
ベスト8 | 28 | 28 | 25 | 25 |
ベスト16 | 14 | 1 | 13 | 1 |
ベスト32 | 1 | – | 1 | – |
ベスト64 | – | – | – | – |
ベスト128 | – | – | – | – |
予選通過 | 6 | 予選なし | 6 | 予選なし |
予選3回戦 | – | 予選なし | – | 予選なし |
予選2回戦 | 4 | 予選なし | 4 | 予選なし |
予選1回戦 | – | 予選なし | – | 予選なし |
予選通過者が本戦1回戦で敗退した場合、獲得できるポイントは予選通過の6ポイントだけとなります。
戦績/種目 (ドロー) | W80 シングルス (32+H) | W80 ダブルス (16+H) | W80 シングルス (32) | W80 ダブルス (16) |
---|---|---|---|---|
優勝 | 130 | 130 | 115 | 115 |
準優勝 | 80 | 80 | 70 | 70 |
ベスト4 | 48 | 48 | 42 | 42 |
ベスト8 | 24 | 24 | 21 | 21 |
ベスト16 | 12 | 1 | 10 | 1 |
ベスト32 | 1 | – | 1 | – |
ベスト64 | – | – | – | – |
ベスト128 | – | – | – | – |
予選通過 | 5 | 予選なし | 5 | 予選なし |
予選3回戦 | – | 予選なし | – | 予選なし |
予選2回戦 | 3 | 予選なし | 3 | 予選なし |
予選1回戦 | – | 予選なし | – | 予選なし |
予選通過者が本戦1回戦で敗退した場合、獲得できるポイントは予選通過の5ポイントだけとなります。
戦績/種目 (ドロー) | W60 シングルス (32+H) | W60 ダブルス (16+H) | W60 シングルス (32) | W60 ダブルス (16) |
---|---|---|---|---|
優勝 | 100 | 100 | 80 | 80 |
準優勝 | 60 | 60 | 48 | 48 |
ベスト4 | 36 | 36 | 29 | 29 |
ベスト8 | 18 | 18 | 15 | 15 |
ベスト16 | 9 | 1 | 8 | 1 |
ベスト32 | 1 | – | 1 | – |
ベスト64 | – | – | – | – |
ベスト128 | – | – | – | – |
予選通過 | 5 | 予選なし | 5 | 予選なし |
予選3回戦 | – | 予選なし | – | 予選なし |
予選2回戦 | 3 | 予選なし | 3 | 予選なし |
予選1回戦 | – | 予選なし | – | 予選なし |
予選通過者が本戦1回戦で敗退した場合、獲得できるポイントは予選通過の5ポイントだけとなります。
戦績/種目 (ドロー) | W25 シングルス (32+H) | W25 ダブルス (16+H) | W25 シングルス (32) | W25 ダブルス (16) |
---|---|---|---|---|
優勝 | 60 | 60 | 50 | 50 |
準優勝 | 36 | 36 | 30 | 30 |
ベスト4 | 22 | 22 | 18 | 18 |
ベスト8 | 11 | 11 | 9 | 9 |
ベスト16 | 6 | 1 | 5 | 1 |
ベスト32 | 1 | – | 0 | – |
ベスト64 | – | – | – | – |
ベスト128 | – | – | – | – |
予選通過 | 2 | 予選なし | 1 | 予選なし |
予選3回戦 | – | 予選なし | – | 予選なし |
予選2回戦 | – | 予選なし | – | 予選なし |
予選1回戦 | – | 予選なし | – | 予選なし |
予選通過者が本戦1回戦で敗退した場合、獲得できるポイントは予選通過の2(1)ポイントだけとなります。
戦績/種目 (ドロー) | W15 シングルス (32) | W15 ダブルス (16) |
---|---|---|
優勝 | 10 | 10 |
準優勝 | 6 | 6 |
ベスト4 | 4 | 4 |
ベスト8 | 2 | 1 |
ベスト16 | 1 | 0 |
ベスト32 | 0 | – |
ベスト64 | – | – |
ベスト128 | – | – |
予選通過 | 0 | 予選なし |
予選3回戦 | – | 予選なし |
予選2回戦 | – | 予選なし |
予選1回戦 | – | 予選なし |
【何ポイント必要?】グランドスラム出場を目指して
グランドスラムからITFワールドテニスツアーまで、大会のグレードによって獲得できるランキングポイントと賞金にかなりの差があることがわかります。
では、大会カテゴリーの頂点に位置するグランドスラムの本戦(シングルス)に出場するためには、どれくらいランキングポイントが必要なのでしょうか?
・・・さっぱりわからにゃい。
グランドスラム本戦ドロー数は128ですが、そのうち16が予選通過者、6〜8がワイルドカード(主催者推薦)であり、「スペシャルランキング」で出場する選手も数名いるため、予選を戦わず本戦に出場するためには
WTAランキング100位前後
に入っている必要があると考えられます。(怪我などで欠場する選手もいるので、絶対条件ではありません。)
離脱前の最後に出場した大会から3ヶ月間の平均ランキングを、実際のランキングとは別に「スペシャルランキング」として保有し、復帰後にスペシャルランキングを使って大会にエントリーすることができます。
2020年の全豪オープン女子シングルスでは、エントリー時に627ポイントで105位だったIrina-Camelia Begu選手がギリギリ本戦からの出場(623ポイントで106位の選手は予選からの出場)となっていますので、少し余裕をもって
「700ポイント」
は欲しいところです。
WTAランキング(シングルス)は「52週以内に獲得した上位16大会のポイント合計」で決まりますので、700ポイントにするには
「1試合平均44(43.75)ポイント以上」
獲得しなければなりません。
WTAツアー大会で44ポイント以上獲得するには、次の成績が必要です。
- プレミアマンダトリー:ベスト32(65ポイント)
- プレミア5:ベスト32(60ポイント)
- プレミア:ベスト16(55ポイント)
- インターナショナル:ベスト8(60ポイント)
ちなみに、下部ツアー大会で44ポイント以上獲得するには、次の成績が必要です。
- WTA125K:ベスト4(57ポイント)
- ITF女子ワールドツアーW100+H:ベスト4(55ポイント)
- ITF女子ワールドツアーW100:ベスト4(50ポイント)
- ITF女子ワールドツアーW80+H:ベスト4(48ポイント)
- ITF女子ワールドツアーW80:ベスト4(42ポイント *2ポイント不足)
- ITF女子ワールドツアーW60+H:準優勝(60ポイント)
- ITF女子ワールドツアーW60:準優勝(48ポイント)
- ITF女子ワールドツアーW25+H:優勝(60ポイント)
- ITF女子ワールドツアーW25:優勝(50ポイント)
つまり、グランドスラムに本戦から出場するためには、
下部ツアーの上位カテゴリーの大会で常にベスト4に入れるくらいの実力が必要
ということになります。
ランキング100位っていうのは実はとってもすごいことなんだな。
【厳しい】WTAランカーの半数がITF女子ワールドテニスツアーレベル!?
WTAランキングポイントを保有する選手は2020年2月3日付けランキングで1,281人います。
実はその半数、600人以上の選手は保有ポイントが50ポイント未満の選手です。
これがどういうことかというと、
WTAランキングをもつ選手の2人に1人が、ITF女子ワールドテニスツアーW25、W15レベルの選手
ということです。
下部ツアーを抜け出し、「WTAツアー」レベルで高額な賞金を獲得できるのは「ほんのひと握り」の選手なんだね!
ITF女子ワールドテニスツアーの賞金だけではとてもツアーを転戦することはできませんので、女子プロテニスツアーが大変厳しい世界であることがわかります。
また、集客力の違いがあるとはいえ、シングルスとダブルスの賞金格差も気になりますね。
今回はWTAの大会カテゴリーとランキングポイントについてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
下記の記事もおすすめですので、あわせてどうぞ!