【ツアー関連】ヤニック・シナー選手がTOP10に入る3つの理由【NextGen ATP Finals WCから優勝の衝撃 】

2019年11月12日記事アイキャッチ画像

今年で3回目の開催となった男子21歳以下のトップ8による「Next Gen ATPファイナルズ」(イタリア・ミラノ 11月5~9日)ですが、開催国からのWC(ワイルドカード:主催者推薦)枠で出場した、出場選手中最年少の18歳ヤニック・シナー(ヤニク・シネル)選手が優勝するという「衝撃的」な結果で幕をとじました。

https://twitter.com/head_tennis/statuses/1193276842926628865?s=21

衝撃的なランキング上昇スピード 551位⇒95位!?

シナー選手、ランキング上昇スピードが「衝撃的」です。

シナー選手は今シーズン(2019)をランキング551位でスタートしているのですが、今大会出場時には95位まで急上昇させトップ100位以内の最年少プレイヤーになっています。

子供の頃は(といってもまだ18歳ですが)スキーとテニスを両方やっており、テニスに専念することを決断したのが13〜14歳の頃、しかも、ATPツアー本戦には2019年4月のブタペスト(ATP250)で初出場したばかり(!)というからなおさら衝撃的です。

このときは予選敗退でしたがラッキールーザーとして本戦に出場、1回戦で勝利しATPツアーでの初勝利をあげています。

その後は、5月にイタリアのローマで開催されたマスターズ大会(ATP1000)BNLイタリア国際にWCで出場し1回戦でスティーブ・ジョンソン選手に勝利(1-6 6-1 7-5)、10月にはベルギーのアントワープ(ATP250)2回戦で第1シードのガエル・モンフィス選手に勝利(6-3 6-2)し、続く準々決勝では今回のNext Gen ATPファイナルズに第2シードで出場したフランシス・ティアフォー選手にも勝利(6-4 3-6 6-3)し、ベスト4に進出しています。(準決勝でスタン・ワウリンカ選手に3-6 2-6で敗退。)

2018年にチャレンジャー大会に挑戦し始めたばかりの選手が、2シーズン目でこれだけの成績を残し100位以内まで順位を上げてきたのですから、驚異的な成長です。
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タマ (ノンプレッシャー)

ローマ出場時のシネル選手のウェアは「HEAD」だけど、今は「NIKE」だからローマでの活躍が認められてNIKEとの契約になったのかな?

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確かに強かった。でもなぜ「TOP10選手になる」と言えるのか?

実際、Next Gen ATPファイナルズに優勝したからといって、ATPツアーレベルでの活躍が約束されているわけではありません。

シナー選手のランキングは急激にあがったとはいえまだ95位、ATPツアー参戦期間は実質まだ1年間だけ、ATPツアーでのタイトルもまだありません。(チャレンジャーには昨シーズン(2018)から参戦し、今シーズン(2019)2つのタイトルを獲得しています。)

現在TOP10に入っているアレクサンダー・ズベレフ選手(2017:準優勝、2018:ATPファイナルズ出場のため欠場)やステファノ・チチパス選手(2018:優勝、2019:ATPファイナルズ出場のため欠場)は、Next Gen ATPファイナルズ出場時にはすでにATPツアーレベルで活躍しタイトルも獲得していました。

前置きが長くなってしまいましたが、なぜ今回WCで出場のシナー選手が「Next Gen ATPファイナルズ」で優勝できたのか、将来的にTOP10に入れるほどの選手なのか、その理由をタマ(ノンプレシャー)なりに3つあげて説明します。

これまでNext Gen ATPファイナルズ(2017,2018)にWCで出場した選手は、他の出場選手に比べてランキングが極端に低かったこともあり、1勝もあげることができずに敗退しています・・・。

理由1:バックハンドが超強力。ダウンザラインの精度が非常に高い。

他の大多数の選手と違うのは、強力なフォアハンドで相手を圧倒するだけでなく、フォアハンドに劣らない凄まじい威力のボールをバックハンドで厳しいコースに「自信を持って」(ここ大事!) 打てていることです。

ちなみに「バックハンドのほうが得意」とシナー選手本人は言っているそうです。

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タマ (ノンプレッシャー)

「左手」をとても上手に使っているように見えるね。
左利きのフォアハンドのようなイメージで、錦織選手のバックハンドにも同じものを感じるよ。

バックハンドのダウンザラインを強いボールで打てる選手はいくらでもいますが、フォアハンドと変わらない精度で打てる選手はそうはいません。

相手からすると「バックハンドクロスラリーからの回り込みフォアハンドでの強打」という王道パターンでラリーの主導権を握りたいところですが、バックハンドのクロスラリーでの強力なストロークに押し込まれ、甘い返球になったところをダウンザラインの厳しいコースにエース級のボールを打たれてしまうため、非常にやっかいです。

アレックス・デミノー選手との決勝戦では、強力なフォアハンドだけではなく、バックハンドのダウンザラインで何本もエースを取っていました。

Next Gen ATPファイナルズ決勝戦ハイライト 1:48,2:25,3:08のダウンザラインに注目!

シナー選手の調子も非常に良かったのだと思いますが、今シーズン3大会で優勝したランキング18位のデミノー選手を相手に、フォアハンド・バックハンドの両方から一方的に強打を打ちまくり終始圧倒、デミノー選手が何もできないまま終わってしまった試合内容も「衝撃的なものでした。


理由2:重心が低くバランスが非常にいい。なのでロングラリーにも強い。

スキーで鍛えられたバランス感覚なのかわかりませんが、ラリー中に相手に厳しいボールを打たれても、重心が低く軸足はしっかりとコートをとらえているため、体勢を崩すことなく更に厳しいボールを打ち返していました。

デミノー選手との決勝戦で、ロングラリーになった場面もありましたが、ことごとくシナー選手がポイントを取っていました。

ジョコビッチ選手も子供の頃にスキーをやっていたことがテニスに役立っていると言っています。
(2歳でスキーを始め、3歳には自分ひとりで滑っていたとか・・・。)

ジョコビッチはその柔軟性について「子どもの頃よくスキーをしていたことも助けになっている。よくスキーをして過ごした。それによって身体のコーディネーションや、コートの端から端まで瞬時に方向転換をしながら動き回ることが可能なんだと思うよ。他のスポーツでも、筋肉や関節などを使うよね。だから身体の動きが最も重要な要素だと思っている。それによってバランスが取りやすくなるからね。結局のところは、バランスがテニス選手の目指すところなんだ。いかに適切なバランスを保ちながら、適切なスピードで的確に高い精度で球を打つか、ということなんだ」と語っている。

【THE TENNIS DAILY 記事より引用】

https://www.thetennisdaily.jp/news/atp/2019/0038849.php

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理由3:サーブのコースが良くエースが取れる。スピードはまだまだ伸びそう。

今大会、シナー選手のファーストサーブですが、センターへのフラットサーブで200Km前後というスピードで、スピードだけを見ると今の男子ツアーでは特別速くはない、といったレベルでした。

しかし、ファーストサーブの確率が非常に高く、しっかりと狙ったコースに打てているといった印象で、センターへのフラットサーブだけでなく、ワイドへのサーブもしっかりとコースにコントロールされており、自らのサービスゲームでリードされた状況をサービスエースで切り抜ける場面が何度もありました。

また、セカンドサーブでも170km近いスピードが出ることもあり、セカンドサーブをリターンで強打されるシーンもあまりありませんでした。

ちなみに、昨シーズン(2018)のチャレンジャー大会で試合をしているシナー選手の動画がyoutubeにありましたので観てみました。

当時のランキングから考えれば当然といえば当然なのですが、別人かと思うほどセカンドサーブが弱々しく、いかに今シーズンの成長が急激なものであったのかがわかります。

まだ18歳であり、これからもっと筋力がついてスイングスピードが上がってくれば、サーブのスピードはまだまだ伸びるはずです。

Next Gen出場選手によるサーブでの的あてゲーム これもシナー選手の優勝?

超逸材 来シーズン、ツアーでの活躍に期待!

今回、Next Gen ATPファイナルズでシナー選手が勝った選手は、デミノー選手以外はまだツアーではトップレベルの選手とは言えず、シナー選手の本当の実力がわかるのは来シーズンかもしれません。

しかし、デミノー選手に何もさせないまま圧倒して勝ってしまった決勝戦をみるかぎり「とんでもなくスケールの大きい超逸材」であり、数年後にはTOP10入りしグランドスラムタイトルを狙えるのでは?と期待してしまいます。

残念ながら2年連続Next Gen ATPファイナルズ準優勝となってしまったデミノー選手ですが、怪我から復活し3タイトル獲得、ランキングも18位まで上昇してのシーズン終了ですから、間違いなくこれまでで最高のシーズンでした。

シナー選手の来シーズン、ツアーでの活躍を期待しましょう!!

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タマ (ノンプレッシャー)

ズベレフ選手級の超逸材!?